赤い羽根共同募金助成事業
高知市こども劇場創立50周年記念事業
「茂山狂言へ!そろりとまいろう!!」
事業のふりかえり~狂言実行委員会~(6)

高知市こども劇場の宿願「茂山狂言上演」

高知市こども劇場創立50周年記念事業のひとつめ『茂山狂言へ!そろりとまいろう!!』が終わりました。これまでも何度かお招きしてきた茂山狂言を、50周年の節目でもぜひやりたいと言い始めたのはいつの頃だったでしょうか?
50周年記念事業の実行委員会が、第1回準備会議として始まったのが2017年11月ですから公演の3年前です。その2年後の12月には一連の記念事業の概要が決まりました。その後、実行委員9名と事務局で構成された『狂言実行委員会』が発足し、2020年2月に第1回実行委員会が開催されました。それから9か月かけて準備し、当日を迎えるに至ったわけです。

実現までの道のり~たくさんの人と手を携えて~

今回の公演の大きな財源となる『赤い羽根共同募金助成事業』への取り組みは、それよりも一足先に始まっていました。3か月の短期集中で多くの皆さんのご協力により、目標をはるかに上回る募金が集まりました。心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
その後の準備はとても慌ただしく苦労もありましたが、同時にとても楽しく充実したものでした。まず出演者が決まり、次に劇場会員の投票を経て演目が確定しました。事前ワークショップ終了後の打ち合わせの際、千之丞さんがその場ですぐに配役を考えて下さったのには驚きました。
事前ワークショップ の三里小学校では、学校行事の中止・縮小が相次ぎ児童の体験活動が少なくなっていたので子ども達も喜んでいるとの事。とてもうれしいお言葉でした。当日は、子ども達はもちろん先生方の反応もよく、初めてお会いする千之丞さんを前に緊張感もありましたが、複数のテレビカメラに臆する様子もなく楽しい時間となりました。無理を承知で思い切ってお願いしてみて本当によかったと思ったことでした。

待ちに待った茂山狂言との再会!

迎えた公演当日は正午から現地入りしての会場づくり、間もなくして役者さんも到着と緊張感が高まります。「赤い羽根共同募金」「高知市こども劇場」「茂山狂言へ!そろりとまいろう!!」の幟も立ち並び、いよいよ開場です。前売り券の売れ行きも好調な上、隣接する美術館に来られた方の飛び入り参加もあり、更に活気づきました。
まずは「狂言のおはなし」から。狂言を全く知らなくても解説を聞いてから観ると、聞いた通りのセリフやしぐさを舞台上にみつけて確認できる喜びがありました。昼の部は子ども達の姿が多く、会場に笑い声が広がりました。その時にはよくわからなくても、帰り道に口真似したり後日お家でものまねをしてみたりと味わい方はそれぞれだったようです。
夜の部は着物姿のおとなが増え雰囲気が改まりました。「昼の部と夜の部を両方観ることにしていて本当に良かった。」という言葉も聞かれました。狂言を初めて観る方もたくさんいましたが、「ぜひまた観たい。」「次はいつ?」という声もちらほらあり、間違いなく狂言ファンが増えたと実感できた今回の公演は大成功と言えるでしょう。
ただひとつ悔やまれるのが、出演者のお名前を間違えてお知らせしてしまったことです。昼の部では解説の丸石さんが訂正してくださり、夜の部ではこども劇場理事長よりお詫びと訂正をお伝えしました。本当に申し訳なく、一同深く反省致しました。
翌日は会場を変え、ザ・クラウンパレス新阪急高知 松竹の間での事後交流会でした。舞台上とは違った非常におしゃれな私服姿の千之丞さんのお話を、こども劇場元理事長 武市真寿美との対談形式でお楽しみいただきました。こちらもコロナ禍で入場者数を心配しましたが、多からず少なからず土佐弁で言うところの“ぼっちり”の環境で、あっというまの90分でした。
対談の様子は、21年4月発行予定の創立50周年記念誌に掲載しますので楽しみにしていてください。

事業を終えて

今回の公演にあたり、助成申請につきましては高知県共同募金会及び高知市社会福祉協議会には大変お世話になりました。また高知県文化財団の共催を頂きいろいろなご協力ご配慮を賜りました。当日は美術館能楽堂の使用にあたり、技術スタッフの方々のきめ細やかな対応に感謝申し上げます。そして、カメラマンの門田幹也さんには、撮影はもとよりまるで劇場スタッフの一員かと思うような活躍ぶりに、感謝の気持ちでいっぱいです。事後交流会でお世話になりましたザ・クラウンパレス新阪急高知様とは新しいお付き合いの始まりを感じます。
役割分担した各セクションと情報共有・調整しながらいろいろな企画運営を進めていく事は、日々の劇場活動で体験していることではありながら、久しぶりの大きな公演を前に緊張とワクワクが止まりませんでした。また今回はコロナ禍で先行きが見えにくいこともあり、本当に公演は実現できるのかとさえ思ったこともありました。
しかしながら、ここまで来られたのは多くのスタッフ、そしてたくさんのお客様のおかげです。舞台を楽しんだ皆さんが笑顔で帰る姿を見られるのが何よりの幸せ、主催者冥利に尽きるというものです。
この舞台に関われて本当に良かったと思います。

高知市こども劇場創立50周年記念事業
狂言実行委員会 実行委員長 橋村恵理

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