故 塚本雄大騎手を偲ぶ

2024年4月4日、どこからか桜舞う田んぼに、いつもならいる人の姿がありません。
その人、塚本雄大さんは、2024年3月24日に競馬のレース中の事故で帰らぬ人となりました。享年25歳の若さでした。

塚本さんと私たちの出会いは、高知けいば騎手会と高知市こども劇場が2013年より一緒に行っている稲作体験でした。
塚本さんは2016年のデビューより、県外で期間限定騎乗をしている時期以外は、欠かさずこの行事に参加してくれました。
他の騎手さんもそうですが、午前中に始まるこの行事に、夜も暗いうち2時ぐらいから始まるお仕事を終えた後に来てくれているのです。それでも嫌な素振り、疲れた顔も見せず、自然体で優しく私たちに接してくれました。子どもたちの心をつかむのも本当に上手で、普段なら恥ずかしがってお母さんの陰に隠れる子も、塚本さんと楽し気に過ごす様子を何度も見かけました。子どもたちにも人気のお兄さんでした。行事の進行にも気遣いを見せてくださる時もありました。そんな塚本さんを、私たちの運営スタッフもとても頼りにしていたのです。
今年で12年目を迎える稲作体験には、毎年リピーターで参加している子も多く、子どもたちも含め私たちみんなが「また会える」ということを信じて疑っていませんでした。

17歳 初めての田植えは気疲れしたかな
21歳 すっかり慣れた手さばきです
泥で汚れた足を水路で洗ってくれました

また、私たちは、時折競馬場にもお邪魔して、田んぼでは見られない騎手さんたちの勝負の姿を拝見しました。競馬場を駆ける馬の美しさ、それを操る騎手さんたちの躍動感、圧倒的な空間の迫力に手を叩き、興奮し、魅了されたものです。そんな空間が、騎手さんや馬たちの貴い命のもとに成り立っている真実を私たちは知ることになりました。

昨冬、塚本さんが地方競馬通算300勝を達成した姿
【高知県競馬組合提供】

塚本さんが、その存在をもって教えてくれたことがたくさんあります。
塚本さんの身体はここになくとも、私たち、特に子どもたちに遺してくれたもの、塚本さんとの思い出は、彼らの身に宿ってこれからもずっと先に続いていきます。

塚本さん、私たちと出会ってくれて本当にありがとうございます。
寂しくて悲しくて仕方ありませんが、こうしてここに記すことで、私たちの知る塚本さんの一面を皆さんに知っていただけたらと願っています。そして、それが私たちにできる塚本さんへの感謝と労りになると考えています。


塚本さんのいない田植えの日、行事の前にみんなで黙とうをしました。
黙とうの声がけは、昨夏に塚本さんとお子さんが一緒に稲刈りをしたお母さんでした。お子さんもお母さんも、塚本さんとの再会を楽しみにしていました。
黙とうの後、「塚本さんも今日、俺も参加するぞって思ってくれていたはず。だから、きっと今日もみんなのそばに来て、ケガなどなく無事に終わるよう見守ってくれていると思います。」と言い、行事が始まりました。

前日の雨と風が嘘のような穏やかで温かい日和。田んぼには笑顔があふれていました。
塚本さん、今年も無事田植えが終わりましたよ。

24歳 ちょっと怖がりな男の子を、できるまでしっかり見守る姿…頼もしい眼差しが印象的です 
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